ご家族の施設を探し始めると、まず「種類が多すぎて違いが分からない」という壁に当たります。調べれば調べるほど、確認すべきことが増えていくように感じられるかもしれません。
ただ、施設選びは、はじめから全部を比べる作業ではありません。要介護度やお住まいの地域によって、選べる施設が先に決まってしまう部分があります。 そこを先に整理すると、比べるべき候補はかなり絞られます。
この記事では、その絞り込みの順序と、絞ったあとに何をどう見極めるかを整理します。あわせて、パンフレットや紹介サイトではなく、公的な記録で施設を確かめる方法もご紹介します。

結論|施設選びは「絞る」と「見極める」の2段階です
施設選びのポイントを最初から並べていくと、費用も立地も食事も雰囲気も気になって、かえって決められなくなります。順序を変えて、次の2段階でお考えください。
第1段階は「絞る」です。 要介護度、お住まいの地域、費用を軽くする制度が使えるかどうか。これらには制度上の条件があり、ご希望だけでは選べない場合があります。
第2段階は「見極める」です。 絞られた候補の中には、同じ種類の名前がついていても中身が大きく違う施設が並びます。ここではじめて、医療への対応や職員体制を比べることに意味が出てきます。
なお、すべての条件を満たす施設を探そうとすると、どこにも決められなくなります。譲れない条件を先に1つか2つ決めておくことを、おすすめしています。
まず、制度によって選べる施設が決まります
要介護度によって、入れる施設が変わります
特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)は、後述する食費と居住費の軽減制度を利用できるため、費用の面から候補に挙がりやすい施設です。ただし入居できるのは、原則として要介護3以上の方とされています。これは施設の方針ではなく、介護保険法とその施行規則で定められています。
介護保険法施行規則では、対象となる要介護状態区分について、要介護認定の基準を定めた省令の「第一条第一項第三号から第五号まで」と規定されています。この第三号から第五号が、要介護3・4・5にあたります。
ただし、要介護1・2の方が一律に入れないわけではありません。ご自宅での生活を続けることが困難なやむを得ない事情があると認められる場合には入所できる仕組み(特例入所)が設けられており、厚生労働省の通知でその考え方が示されています。
要介護1・2の段階で施設をお探しの場合は、特別養護老人ホーム以外の選択肢を並行して見ておくほうが、実際には進めやすくなります。
グループホームは、お住まいの市町村が原則です
認知症の方が少人数で暮らすグループホーム(認知症対応型共同生活介護)は、介護保険の中で「地域密着型サービス」に分類されています。市町村が事業者を指定する仕組みで、その指定は指定した市町村の被保険者に対して効力を持つと介護保険法に定められています。
そのため、原則としてお住まいの市町村にある施設が対象になります。隣の市に良い施設を見つけても、そのままでは利用できないことがあります。
対象となるのは、介護保険法上「要介護者であって認知症であるもの」とされている方です。
費用を軽くする制度が使えるかどうかも、施設の種類で決まります
所得が低い方の食費と居住費を軽くする制度(特定入所者介護サービス費、いわゆる補足給付)があります。この制度は、どの施設でも使えるわけではありません。
介護保険法の第51条の3第1項は、対象となるサービスを次の6つに限定して列挙しています。
一 指定介護福祉施設サービス 二 介護保健施設サービス 三 介護医療院サービス 四 地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護 五 短期入所生活介護 六 短期入所療養介護
有料老人ホームは、介護付き・住宅型のいずれもこの列挙に含まれていません。つまり有料老人ホームでは補足給付は使えません。
「特別養護老人ホームは安い」と言われる理由の一つがここにあります。表示されている月額だけを比べると差が小さく見えても、この制度が使えるかどうかで実際のご負担は変わってきます。
施設の種類は「介護を誰が提供するか」で分かれます
種類の多さに戸惑われるかもしれませんが、介護サービスを施設の職員が提供するのか、外部の事業者が提供するのかという点で整理すると分かりやすくなります。
| 種類 | 根拠となる法律 | 介護を提供するのは | 入居条件の目安 |
|---|---|---|---|
| 特別養護老人ホーム | 老人福祉法・介護保険法 | 施設の職員 | 原則要介護3以上 |
| 介護老人保健施設 | 介護保険法 | 施設の職員 | 要介護1以上・在宅復帰を目指す方 |
| 介護医療院 | 介護保険法 | 施設の職員 | 長期の療養が必要な要介護の方 |
| 介護付き有料老人ホーム | 老人福祉法・介護保険法 | 施設の職員(外部サービス利用型の場合は委託先の事業所) | 施設により異なる |
| 住宅型有料老人ホーム | 老人福祉法 | 外部の事業者 | 施設により異なる |
| サービス付き高齢者向け住宅 | 高齢者住まい法 | 外部の事業者(介護付きの指定を受けている場合を除く) | 施設により異なる |
| グループホーム | 介護保険法 | 施設の職員 | 認知症のある要介護の方。原則としてお住まいの市町村の施設 |
| ケアハウス(軽費老人ホーム) | 老人福祉法 | 施設により異なる | 施設により異なる |
上の3つ(特別養護老人ホーム・介護老人保健施設・介護医療院)は介護保険法にもとづく施設で、入居できる方の条件が制度で決まっています。有料老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅は、入居条件を施設ごとに設定しているため、費用の幅も大きくなります。グループホームとケアハウスは、対象となる方や運営の仕組みがそれぞれ異なりますので、個別にご確認ください。
「介護付き」という表示は、特定施設入居者生活介護の指定を受けた施設だけが使えるものです。厚生労働省の指導指針にも、指定を受けていない施設が広告やパンフレットで「介護付き」「ケア付き」と表示してはならないと明記されています。ただし表示の規制であって、表示だけで指定の有無を確かめられるわけではありません。確実なのは重要事項説明書で類型を確認することです。
その介護付きの中にも、施設の職員が介護を提供する「一般型」と、委託先の事業所が提供する「外部サービス利用型」があります。同じ「介護付き」でも、実際に介護にあたる方が変わります。
住宅型有料老人ホームそのものについては住宅型有料老人ホームとは?費用・サービス・入居条件をやさしく解説で、介護付きとの違いは住宅型有料老人ホームと介護付き有料老人ホームの違いで詳しくご説明しています。

同じ「住宅型」でも、中身が大きく違う理由
候補が絞られたあとに、最も見落とされやすい点をお伝えします。
住宅型有料老人ホームには、介護付きや特別養護老人ホームのような法令上の人員配置基準がありません。 厚生労働省が2026年8月5日の社会保障審議会介護給付費分科会に提出した資料には、住宅型について次の記載があります。
※ 運営・人員基準なし(ガイドラインのみ)
「ガイドラインのみ」とあるとおり、何の決まりもないわけではありません。厚生労働省の指導指針が守るべき事柄を示しています。ただしこれは技術的な助言という位置づけで、介護付きや特別養護老人ホームのように、職員を何人配置するかが省令で義務づけられているのとは性質が異なります。
その結果、住宅型は同じ名前で呼ばれていても、施設ごとの差が残りやすい形態になっています。夜間に何人の職員がいるのか、医療的なケアにどこまで対応できるのか、看取りをどう考えているのか。「住宅型だからこう」と一般化できない部分です。
施設ごとの差は、どこを見れば分かるのか
差が出やすいのは次の3点です。いずれも重要事項説明書に記載があります。
- 夜間の職員体制 — 重要事項説明書の職員配置の欄に、夜勤の人数が記載されています。日中の人数だけを見て判断しないことが大切です
- 医療との連携先 — 提携医療機関や、連携している訪問看護ステーションの名称が記載されています。名称まで書かれていれば、その事業所について改めて調べることもできます
- どういう状態まで住み続けられるか — 契約が終了する場合の条件が記載されています。医療的なケアが必要になったときの扱いは、ここに表れます
医療面の仕組みそのものについては住宅型有料老人ホームでも24時間看護は可能?訪問看護との連携の仕組みで、住宅型が向く場合と負担が重くなりやすい条件については住宅型有料老人ホームのメリット・デメリットでご説明しています。

費用は、どこまでが公的に決まっているのでしょうか
施設の費用は「月額15万円から30万円」といった幅で紹介されることが多く、その数字がどこから来たのか分からないまま比べることになりがちです。実際には、公的に決まっている部分と、施設ごとに設定している部分が混ざっています。分けて考えると見通しが立ちます。
介護保険で使える上限は、要介護度ごとに決まっています
在宅サービスを利用する場合、介護保険で使える金額には要介護度ごとの上限(区分支給限度基準額)があり、介護保険法にもとづいて定められています。上限を超えて使った分は全額のご負担になります。
住宅型やサービス付き高齢者向け住宅では外部の介護サービスを利用するため、この上限が費用に直接関わってきます。要介護度ごとの具体的な金額と、介護付きとの負担の比べ方は住宅型有料老人ホームと介護付き有料老人ホームの違いでご説明しています。
自己負担が高くなったときの上限もあります
介護サービスの自己負担が高額になった場合、月ごとの上限を超えた分が払い戻される制度(高額介護サービス費)があります。介護保険法施行令で所得に応じた上限額が定められており、一般的な課税世帯の場合は月額44,400円と規定されています。所得が高い世帯ではこれより高く、住民税非課税の世帯などではより低い上限が設けられています。
ただしこの制度の対象は介護サービスの自己負担分であり、家賃・食費・管理費は含まれません。 有料老人ホームの月額のうち大きな部分を占めるのはこれらの費用ですので、ここを取り違えないことが大切です。
前払金と、いわゆる「90日ルール」
入居時にまとまった前払金(入居一時金)を求められる場合があります。この返還については、老人福祉法とその施行規則にルールがあります。
一般に「90日ルール」と呼ばれていますが、実際の条文には「90日」という言葉は出てきません。 老人福祉法施行規則第21条は次のように定めています。
一 入居者の入居後、三月が経過するまでの間に契約が解除され、又は入居者の死亡により終了した場合にあつては、三月
そして返還額の計算方法についても、家賃等の月額を「三十で除した額」に入居日数を掛ける、と規定されています。
入居後まもなく体調が変わられた場合や、想定と違って住み替えを検討される場合に、この期間内かどうかで戻る金額が変わります。前払金がある施設を検討される場合は、契約書のこの部分をご確認ください。
パンフレットではなく、公的な記録で確かめる
施設の情報は、施設自身が発信しているものがほとんどです。悪いことではありませんが、比較の材料としては物足りません。第三者の立場で確認できる公的な情報源が3つあります。競合する情報サイトではあまり案内されていませんが、どなたでもご覧いただけます。
介護サービス情報公表システム
厚生労働省が運営する介護サービス情報公表システムでは、全国の介護サービス事業所の情報を検索できます。
このシステムが施設のパンフレットと違うのは、掲載が法律で義務づけられている点です。介護保険法第115条の35は、事業者に都道府県知事への報告を義務づけ、都道府県知事にはその内容を公表することを義務づけています。
報告をしなかったり虚偽の報告をしたりした場合には、都道府県知事が是正を命じることができます。その命令に従わないときは、指定の取消しや効力の停止もありうると定められています。
掲載内容そのものは事業者が報告したものですので、第三者が中身を保証しているわけではありません。それでも、施設が任意に選んで載せる広告とは、記載の性質が異なります。
重要事項説明書
施設ごとの中身を最も具体的に知ることができるのが重要事項説明書です。職員の体制、費用の内訳、提携している医療機関などが記載されています。
厚生労働省の指導指針では、重要事項説明書は入居相談があったときに交付するものとされており、求めに応じても交付することとされています。遠慮なくお申し出ください。
さらに、契約前に説明すべき事項として次の内容が挙げられています。
ホ 入居者が希望する介護サービスの利用を妨げない旨
この一文は、住宅型を検討される際に特に大切です。 住宅型では介護サービスの事業者をご自身で選ぶのが本来の形です。併設の事業所しか使えないような説明を受けた場合は、この記載と照らして確認なさってください。
枚方市が公表している一覧
大阪府枚方市では、市内の有料老人ホームの一覧と、各施設の重要事項説明書が市のホームページで公表されています。施設名や所在地に加えて、類型(介護付きか住宅型か)や定員も確認できます。
お時間が限られている場合は、まず類型(介護付きか住宅型か)と、重要事項説明書の職員配置・契約が終了する場合の条件の3点に絞ってご覧になると、候補を比べやすくなります。
このページには、入居のお申し込みや最新の重要事項説明書については各施設へお問い合わせくださいと記載されています。まず一覧で候補を確認し、詳しい内容は施設に直接ご確認いただく流れになります。
見学のときに何を見て何を質問するかは、老人ホーム見学のチェックポイントにまとめました。行く前に調べておくことと、当日に確かめることを分けてご説明しています。

2026年の法改正で、選び方はどう変わるのでしょうか
2026年6月に公布された法改正で、有料老人ホームに登録制を導入することが決まりました。中重度の要介護の方など、特に入居者の保護が必要な方を受け入れる施設が対象で、厚生労働省は現在ある有料老人ホームの大半が対象になると想定しています。
住宅型については、ケアマネジャーや介護サービス事業者との独立性を確保する措置も導入されます。特定の介護サービス事業者を使うことを入居の条件にしてはならない、といった内容が含まれています。
施行の時期は、法律が公布された日から2年を超えない範囲で政令によって定められることになっています。すでにある施設については、施行後さらに1年6か月を超えない範囲で登録を猶予する経過措置も設けられています。
まだ施行前の制度ですので、これから施設をお探しになる方にとって、今すぐ何かが変わるわけではありません。
ただ、制度がこうした方向へ向かっているということは、今の施設選びにも使えます。特定の介護サービス事業者を使うことが入居の条件になっていないかは、現在でも重要事項説明書と入居契約書で確認できる事柄です。
よくある質問
Q. 見学はいくつくらい行けばよいですか
決まった数はありません。ただ、1か所だけですと、その施設の説明が一般的なことなのか、その施設ならではのことなのかが分かりにくくなります。可能であれば複数をご覧いただくと、比べる基準ができてきます。
Q. 重要事項説明書は、契約前でも見せてもらえますか
厚生労働省の指導指針では、入居相談があったときに交付するほか、求めに応じて交付することとされています。契約を決める前の比較検討の段階でお申し出いただいて差し支えありません。なお要介護度が上がった場合の住み替えについては、住宅型有料老人ホームのメリット・デメリットでご説明しています。
Q. 特別養護老人ホームの申し込みと並行して探してもよいですか
はい、並行して進めていただいて差し支えありません。申し込みから入所までにどのくらいかかるかは施設や地域によって異なりますので、その間の暮らしの場をあわせて考えておくと、選択肢を確保しやすくなります。
Q. 認知症がある場合、選び方は変わりますか
夜間の体制や、ご本人の状態に合わせた関わり方ができるかどうかが、より重要になります。グループホームのように認知症の方を対象とした施設もありますが、お住まいの市町村にあることが原則です。認知症がある場合に何を確かめるとよいかは、認知症の親の老人ホームの選び方にまとめました。
まとめ
老人ホームの選び方は、条件を並べて点数をつける作業ではありません。まず要介護度・お住まいの地域・費用を軽くする制度が使えるかどうかで候補が絞られ、そのうえで一つひとつを見極める、という2段階で進みます。
絞り込みのあとで大切になるのが、同じ種類の名前でも中身が違うという点です。特に住宅型有料老人ホームには、介護付きや特別養護老人ホームのような法令上の人員配置基準がないため、医療への対応や夜間の体制に施設ごとの差が出やすくなっています。パンフレットの言葉ではなく、介護サービス情報公表システムや重要事項説明書といった公的な記録で確かめられることをおすすめします。
メディケア結枚方は、枚方市の住宅型有料老人ホームです。外部の訪問看護・訪問介護と連携しながら、日々の暮らしを支えています。夜間の体制や医療との連携について気になる点がございましたら、見学やご相談の際に遠慮なくお尋ねください。重要事項説明書についても、お申し出いただければご覧いただけます。

【空室状況を確認する】(公式HPへ)
参考・出典
- 厚生労働省 老健局「高齢者住まいに対するサービス提供の在り方」(社会保障審議会-介護給付費分科会 第262回 資料2、令和8年8月5日) https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001733554.pdf
- 厚生労働省「有料老人ホームの設置運営標準指導指針について」(平成14年7月18日 老発第0718003号、令和6年12月6日最終改正) https://www.mhlw.go.jp/content/001347957.pdf
- 厚生労働省「有料老人ホームの類型」(上記指導指針 別表) https://www.mhlw.go.jp/content/001347959.pdf
- 厚生労働省「指定介護老人福祉施設等の入所に関する指針について」(平成26年12月12日 老高発1212第1号) https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc0609&dataType=1&pageNo=1
- 介護保険法(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/409AC0000000123
- 介護保険法施行令(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/410CO0000000412
- 介護保険法施行規則(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/411M50000100036
- 老人福祉法(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/338AC0000000133
- 老人福祉法施行規則(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/338M50000100028
- 厚生労働省「介護サービス情報公表システム」 https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/
- 枚方市「枚方市有料老人ホームの一覧及び重要事項説明書」 https://www.city.hirakata.osaka.jp/0000010554.html