住宅型有料老人ホームのメリット・デメリット|不利になる条件と見学時の確認点

住宅型有料老人ホームを候補に入れて調べていくと、「自由度が高い」という良い面と、「介護が必要になると困るのでは」という不安の両方が出てきます。どちらの情報も見かけるため、結局どう受け止めればよいのか迷われている方も多いのではないでしょうか。

住宅型のメリットとデメリットは、別々にあるものではなく、同じ仕組みから生まれる表と裏です。この記事では、それぞれがどういう条件のときに現れるのかまで踏み込んで整理します。あわせて、見学のときにそのままお使いいただける確認の質問もまとめました。

歩行器とテレビのある居室
住宅型の暮らしは、必要な介護の量によって見え方が変わります

結論|分かれ目は要介護度ではなく「必要な介護の量」

住宅型有料老人ホームは、食事や見守りといった生活支援を施設が提供し、介護が必要になった場合は外部の介護サービスを利用する形態です。介護サービスの費用は、使った分だけかかります。

一方、介護付き有料老人ホームは、要介護度に応じた定額です。使っても使わなくても同じ金額がかかります。

この違いが、メリットにもデメリットにもなります。必要な介護の量が少ないうちは、使った分だけの住宅型のほうが負担を抑えやすくなります。反対に、必要な量が増えて介護保険で使える上限に近づくと、住宅型のほうが負担が重くなる場面が出てきます。

つまり分かれ目は、要介護度の数字そのものではなく、実際に必要な介護の量が、どのくらいになりそうかという点にあります。この記事の内容も、この一点に沿ってお読みいただければと思います。

住宅型有料老人ホームのメリット

介護サービスは使った分だけで済みます

住宅型では、訪問介護やデイサービスなどを利用した分だけ費用がかかります。介護をあまり使わない月は、その分の費用は発生しません。

自立に近い状態で入居される方や、ご家族が近くにお住まいで一部を担える場合には、この仕組みが負担の軽さにつながりやすくなります。

介護サービスの事業者をご自身で選べます

住宅型では、どの訪問介護事業所を使うか、どのデイサービスに通うかを、入居された方ご自身が選んで契約します。

これまで在宅で使ってきた事業所を、入居後もそのまま続けられる場合があります。長く担当してくれたヘルパーさんや看護師さんとの関係を保てることは、ご本人にとって大きな安心につながります。

生活の自由度が保たれやすい形態です

外出やご面会、起床・就寝の時間など、生活のリズムをご自身のペースで保ちやすいことも住宅型の特徴です。

この点は住宅型有料老人ホームとは?費用・サービス・入居条件をやさしく解説で詳しくご紹介していますので、暮らしのイメージを知りたい方はあわせてご覧ください。

屋外テラスのテーブルとパラソル
外気に触れられる場所があるかどうかも、暮らしやすさに関わります

住宅型のデメリットと、それが起きる条件

ここからが、この記事でお伝えしたい中心の部分です。デメリットとして語られる内容には、それぞれ「どういう条件で起きるのか」があります。条件がわかれば、事前に確かめることができます。

介護の量が増えると費用が膨らみます|上限を超えた分は全額自己負担

介護保険には、要介護度ごとに1か月に使える上限(区分支給限度基準額)が定められています。住宅型で外部の介護サービスを使う場合、この枠のなかであれば1〜3割の自己負担で済みますが、枠を超えた分は全額自己負担になります。

介護付きの定額と、住宅型が使える上限を並べると、次のようになります。

要介護度 介護付きの定額(単位/月) 住宅型が使える上限(単位/月)
要支援1 5,563 5,032
要支援2 9,515 10,531
要介護1 16,355 16,765
要介護2 18,362 19,705
要介護3 20,490 27,048
要介護4 22,435 30,938
要介護5 24,533 36,217

(介護付きの定額は特定施設入居者生活介護費(一般型)を月換算したもの、住宅型の上限は区分支給限度基準額です。自己負担割合や地域区分、各種加算によって実際の金額は変わります)

数字だけを見ると、要介護度が高いほど住宅型で使える枠は広く、要介護5では1万単位以上の差があります。制度の上では、住宅型でも手厚く組めるということです。

ただし住宅型の場合、この枠を使い切ったあとに追加で必要になったサービスは全額自己負担になります。介護付きは定額のため、この心配がありません。費用が不利に働くのは「必要な量が上限に近づいたとき」であり、要介護度が上がった時点で自動的に高くなるわけではありません。

住宅型と介護付きの費用の考え方については、住宅型有料老人ホームと介護付き有料老人ホームの違い|費用が逆転する条件まで解説でさらに詳しく整理しています。

電卓と書類で老人ホームの費用を確認している様子
見積りの段階で、1か月あたりどのくらいのサービスを使う想定かを確認しておくと安心です

夜間や医療的なケアへの対応は、施設による差が大きくなります

住宅型には、看護職員を配置する義務がありません。そのため、夜間の体制や医療的なケアへの対応は、施設ごとに大きく異なります。

「住宅型だから医療には対応できない」と一律に考える必要はありません。外部の訪問看護ステーションと連携することで、医療的なケアに対応している住宅型の施設もあります。その仕組みは住宅型有料老人ホームでも24時間看護は可能?訪問看護との連携でできることでご説明しています。

大切なのは、その施設が実際にどういう体制を組んでいるかを確かめることです。夜間に何人の職員がいるのか、看護職員に連絡がつく体制があるのかは、見学のときに確認できます。

併設の事業所にサービスが偏る懸念があります

住宅型のデメリットとして「囲い込み」という言葉を目にされることがあります。施設に併設された事業所の介護サービスだけを使うよう促され、入居された方が事業者を選べなくなる状態を指します。必要以上のサービスが組まれると、介護保険の枠を圧迫することにもつながります。

この点については、制度の側でも対応が進められています。訪問介護には「同一建物減算」という仕組みがあり、同じ建物や隣接する敷地の入居者にサービスを集中させている場合、事業者が受け取る報酬が引き下げられます。

厚生労働省の資料では、次の区分が示されています。

減算対象
10%減算事業所と同一敷地内または隣接する敷地内の建物に居住する方
15%減算上記の建物のうち、居住する利用者が1か月あたり50人以上の場合
10%減算上記以外の場所にある建物で、居住する利用者が1か月あたり20人以上の場合
12%減算正当な理由なく、前6か月間に提供した訪問介護の総数のうち、同一敷地内または隣接する敷地内の建物に居住する方への提供が9割以上を占める場合

このうち12%減算は、令和6年度の介護報酬改定で新たに設けられたものです。併設の入居者にサービスを集中させるほど事業者の報酬が下がる形になっており、経済的な誘因を弱める仕組みといえます。

もっとも、この仕組みで懸念がすべて解消するわけではありません。同じ資料のもとになった審議報告でも、集合住宅へのサービス提供のあり方については引き続き検討していくべきだとされています。

事務の効率化や組み合わせるサービスの種類、集合住宅へのサービス提供の在り方等含め、引き続き総合的に検討していくべきである

なお、訪問介護事業所に有料老人ホーム等が併設されている割合は、都市部で9.3%、中山間・離島等で25.4%と示されています。併設そのものは珍しいことではなく、移動時間が短く済む利点もあります。併設かどうかではなく、他の事業者も選べる状態になっているかを確かめるのが実際的です。

住み続けられるかどうかは、契約の内容で決まります

「介護度が上がったら退去になる」と説明されることがありますが、これも施設によって異なります。どういう状態になったときに契約が終了するのかは、重要事項説明書と入居契約書に記載されています。

厚生労働省の指導指針では、事業者について次のように定められています。

入居者又は入居しようとする者に対して、重要事項説明書を書面により交付するとともに、パンフレット、重要事項説明書、入居契約書、管理規程等を公開するものとし、求めに応じ交付すること。

求めに応じて交付することとされていますので、契約の前に遠慮なくお申し出ください。退去に関する条項は、あとから確認しづらい部分です。

見学のときに、そのまま使える確認の質問

ここまでの4つのデメリットは、いずれも見学の場で確かめられます。そのままお使いいただける形にまとめました。

費用について – 母(父)の状態だと、1か月あたりどのくらいの介護サービスを使う想定になりますか – その場合、介護保険の上限に対してどのくらいの割合になりますか

夜間・医療について – 夜間は何人の職員の方がいらっしゃいますか – 夜間に体調が変わったとき、どこに連絡が行く体制になっていますか – 訪問看護と連携されている場合、どちらの事業所と連携されていますか

事業者の選択について – 併設以外の訪問介護事業所を使うことはできますか – 今お世話になっている事業所を続けることはできますか – ケアプランの内容と内訳を、家族も一緒に確認できますか

退去について – どのような状態になったときに、契約の終了について話し合うことになりますか

施設の食堂と大テーブル
見学では設備だけでなく、職員の方に直接質問できる時間をつくっておくと安心です

住宅型と介護付き、どちらを選ぶかの目安

住宅型が合いやすいのは、必要な介護がまだ限られている方、これまで使ってきた事業所を続けたい方、生活の自由度を重視される方です。

介護付きが合いやすいのは、介護の必要量が多く費用の見通しを立てやすくしたい方、サービスの手配をご家族が担うのが難しい方です。

2つの形態の違いは住宅型有料老人ホームと介護付き有料老人ホームの違いで詳しくご説明しています。施設全体の選び方については、老人ホームの選び方でまとめています。

【空室状況を確認する】(公式HPへ)

よくある質問

Q. 要介護度が上がったら、退去になりますか

施設によって異なります。退去に関する条件は重要事項説明書と入居契約書に記載されていますので、契約前にご確認ください。外部の訪問看護や訪問介護と連携することで、介護度が上がったあとも暮らし続けている方もいらっしゃいます。

Q. 併設の事業所を使わないといけませんか

住宅型では、介護サービスの事業者はご本人が選んで契約する形です。併設の事業所を使うかどうかも選べるのが本来の形ですので、見学の際に「他の事業所も選べますか」と確認しておくと安心です。

Q. 費用が介護保険の上限を超えると、どうなりますか

上限を超えた分は全額自己負担になります。上限に近づきそうな場合は、ケアマネジャーにサービスの組み方を相談することができます。入居前の見積りの段階で、どのくらいの利用量を想定しているかを確認しておくと、見通しが立てやすくなります。

まとめ

住宅型有料老人ホームのメリットとデメリットは、「介護サービスを使った分だけ支払う」という同じ仕組みから生まれています。必要な介護の量が少ないうちは負担を抑えやすく、上限に近づくと負担が重くなります。分かれ目は要介護度の数字ではなく、実際に必要な量です。

夜間や医療的なケアへの対応、事業者を選べるかどうか、どういう状態まで住み続けられるかは、いずれも施設によって異なります。裏を返せば、見学の場で確かめられる事柄でもあります。

メディケア結枚方では、住宅型有料老人ホームとして、外部の訪問看護・訪問介護と連携しながら、お一人おひとりの状態に合わせた暮らしを支えています。ご不安な点や確認しておきたいことがございましたら、見学の際にお気軽にお尋ねください。

施設に掲げられた「結」の書
メディケア結枚方の由来となった言葉です

参考・出典