
導入リード
退院後の施設探しで、「24時間体制の看護が必要だけれど、住宅型有料老人ホームでも対応してもらえるのだろうか」と不安を抱えるご家族は少なくありません。住宅型有料老人ホームは介護付きと違って看護師の配置義務がないため、施設だけで24時間看護を完結することはできません。それでも、訪問看護ステーションとの連携や、主治医による特別訪問看護指示書といった制度を組み合わせることで、24時間体制の医療ケアを実現する道があります。
本記事では、住宅型有料老人ホームで24時間看護を支える仕組み、訪問看護との連携体制、施設選びの際にご家族が必ず確認したいポイントを、厚生労働省の最新情報をもとに整理してお伝えします。
結論|住宅型有料老人ホームでも条件付きで24時間看護は可能です
結論からお伝えすると、住宅型有料老人ホームでも、訪問看護ステーションとの連携によって24時間看護に対応できる体制を整えることは可能です。
ただし、これは「すべての施設で常に対応できる」という意味ではありません。入居者様お一人おひとりの状態、主治医のご判断、そして施設と訪問看護ステーションの連携体制によって、対応できる範囲は異なります。
24時間看護を実現するうえでの主な仕組みは、次の3つの組み合わせです。
- 訪問看護ステーションの「24時間対応体制加算」による夜間・休日の電話相談・緊急訪問
- 主治医が交付する「特別訪問看護指示書」による集中的な訪問看護
- 主治医・訪問看護ステーション・施設の3者による情報共有と連携体制
それぞれが独立して機能するのではなく、3つが噛み合って初めて24時間の安心が成り立ちます。以降の章で、ひとつずつ順に解説していきます。
そもそも住宅型有料老人ホームとは?介護付き・特養との違い
住宅型有料老人ホームは、自立した生活を基本としながら、必要に応じて外部の介護・医療サービスを利用できる施設です。介護付き有料老人ホームや特別養護老人ホーム(特養)と混同されやすいため、まず3つの違いを整理しておきましょう。
| 項目 | 住宅型有料老人ホーム | 介護付き有料老人ホーム | 特別養護老人ホーム |
|---|---|---|---|
| 介護サービス | 外部サービスを利用 | 施設職員が提供 | 施設職員が提供 |
| 看護師の配置義務 | なし(必要数を配置) | あり(入居30名以下で1名以上、50名以下で2名以上) | あり |
| 24時間介護体制 | 外部サービスとの組み合わせ | 施設内で提供 | 施設内で提供 |
| 介護保険上の分類 | 在宅サービス利用型 | 特定施設入居者生活介護 | 介護老人福祉施設 |
| 入居しやすさ | 比較的入居しやすい | 比較的入居しやすい | 原則要介護3以上・入居待ち多 |
このように、住宅型有料老人ホームの最大の特徴は、入居者様の状態やご希望に応じて外部サービスを柔軟に組み合わせられる点にあります。日々の介護は施設職員が担い、医療ケアが必要な場面では訪問看護や訪問診療を利用するという仕組みです。
一方で、看護師の配置基準が施設ごとに異なるため、医療ニーズへの対応力は施設によって大きな差があります。同じ住宅型でも、提携している訪問看護ステーションの体制や、施設職員の医療ケアへの理解度によって、24時間看護に対応できるかどうかが分かれます。
「住宅型は外部サービスを自由に組み合わせられる」という特性は、見方を変えれば「施設選びの段階で連携体制を見極める必要がある」とも言えます。詳しくは後述の「施設選びの5つのチェックポイント」で具体的に解説します。

なぜ住宅型では「24時間看護」が課題になるのか
住宅型有料老人ホームで24時間看護を実現することが、なぜ単純ではないのか。その背景には、看護師配置をめぐる制度上の違いがあります。
看護師配置基準の違い
厚生労働省の「有料老人ホーム設置運営標準指導指針」では、住宅型有料老人ホームに対して次のように定められています。
入居者の健康管理に必要な数を配置すること。ただし、看護職員として看護師の確保が困難な場合には、准看護師を充てることができる。
(出典: 厚生労働省「有料老人ホームの設置運営標準指導指針について」)
つまり、住宅型では「何人以上の看護師を配置しなければならない」という明確な基準はなく、施設の判断に委ねられているのが実情です。一方、介護付き有料老人ホーム(特定施設入居者生活介護)では、入居者30名以下で1名以上、50名以下で2名以上といった配置基準が定められています。
| 項目 | 住宅型有料老人ホーム | 介護付き有料老人ホーム |
|---|---|---|
| 看護師配置 | 必要数(具体的人数の規定なし) | 30名以下で1名以上、50名以下で2名以上 |
| 夜間の看護師常駐 | 義務なし | 義務なし(オンコール対応が一般的) |
| 医療ケアの主な担い手 | 訪問看護ステーション | 施設内の看護師+訪問看護 |
介護職員ができる医療行為の範囲
夜間や休日に施設に常駐するのは、多くの場合介護職員です。介護職員ができる医療的ケアの範囲は、原則として次のように整理されています。
- 介護職員が実施できる範囲: 服薬の介助(声かけ・確認)、口腔ケア、爪切り、検温・血圧測定、軽微な傷の処置 など
- 一定の研修を修了した介護職員が実施できる範囲: たんの吸引、経管栄養の注入
- 看護師でなければ実施できない範囲: 点滴・注射、褥瘡(じょくそう)の医療的な処置、医療機器の管理、インスリン注射、医療判断を伴うケア など
このように、夜間に医療的ケアの必要が生じた場合、介護職員だけでは完結できないケースが多くあります。そこで重要になるのが、訪問看護ステーションとの連携です。

訪問看護との連携で24時間看護を実現する仕組み
ここからが、本記事のもっとも重要な内容です。住宅型有料老人ホームで24時間看護を支えているのは、訪問看護ステーションとの連携体制と、それを裏付ける制度の組み合わせです。
訪問看護ステーションの役割と看護師による医療ケア
訪問看護ステーションは、看護師・保健師・理学療法士などが利用者様のご自宅や入居施設を訪問し、医師の指示のもとで医療ケアを提供する事業所です。提供できるケアには、健康状態のアセスメント、点滴・注射、褥瘡処置、服薬管理、ターミナルケア、緊急時対応など、看護師の専門性が必要な医療行為が幅広く含まれます。
住宅型有料老人ホームに入居されている方も、要介護認定や医療保険の要件を満たせば訪問看護を利用できます。施設で対応しきれない医療ケアを、外部の専門職が支える形です。

通常の訪問看護指示書と特別訪問看護指示書の違い
訪問看護を利用するには、主治医による「訪問看護指示書」の交付が必要です。通常の指示書では、訪問は週3日まで、1日1回までが基本となります。
これに対して、急性増悪期・退院直後・終末期など、集中的な訪問看護が必要と主治医が判断した場合には、「特別訪問看護指示書」が交付されます。
| 項目 | 通常の訪問看護指示書 | 特別訪問看護指示書 |
|---|---|---|
| 訪問回数 | 1日1回、週3日まで | 1日複数回、週4日以上可 |
| 訪問時間 | 90分未満 | 週1回は90分超可 |
| 指示期間 | 6か月以内 | 最大14日間 |
| 交付回数 | 必要に応じて | 原則1人につき月1回(例外あり) |
| 複数ステーション利用 | 不可 | 可 |
| 保険適用 | 介護保険/医療保険 | 医療保険 |
例外として、気管カニューレを使用している方や、真皮を超える褥瘡がある方の場合は、特別訪問看護指示書を月2回まで交付できる規定があります。
特別訪問看護指示書が交付されている期間は、訪問看護ステーションの看護師が頻回に訪問し、医療保険適用のもとで集中的なケアを行えます。退院直後の不安定な時期や、終末期に状態が変化した場面でこそ、この制度が大きな支えになります。
(出典: 令和6年3月5日 保医発0305第4号「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」)
24時間対応体制加算とは(夜間・休日対応の制度)
訪問看護ステーション側の制度として、「24時間対応体制加算」があります。これは、利用者様やご家族からの電話相談に24時間応じる体制を整え、必要に応じて緊急訪問を行う事業所が算定できる加算です。
2024年4月の診療報酬改定で、この加算は次の2区分に整理されました。
| 区分 | 月額 | 主な要件 |
|---|---|---|
| 24時間対応体制加算 イ | 6,800円 | 看護業務の負担軽減の取組(夜間対応翌日の勤務間隔確保等)を実施 |
| 24時間対応体制加算 ロ | 6,520円 | 基本要件(24時間電話対応・緊急訪問体制・届出等)のみ |
(出典: 厚生労働省 介護給付費分科会 訪問看護参考資料)
24時間対応体制加算を算定している訪問看護ステーションと連携している施設であれば、夜間・休日に状態が急変した場合でも、看護師がまず電話で対応し、必要に応じて駆けつける体制が制度として用意されていることになります。施設見学の際に「提携の訪問看護ステーションは24時間対応体制加算を算定していますか」と確認することが、安心の目安になります。
なお、介護保険側にも同様の趣旨を持つ「緊急時訪問看護加算」があり、要介護認定を受けている方はこちらが適用されるケースもあります。同月に医療保険の24時間対応体制加算と介護保険の緊急時訪問看護加算を併算することはできないため、保険の切り替えを伴う場合は、施設や訪問看護ステーションと事前に確認しておくと安心です。
主治医・訪問看護ステーション・施設の3者連携フロー
24時間看護を実現するには、主治医・訪問看護ステーション・施設の3者が連携することが欠かせません。標準的なフローは次のとおりです。
- 入居前: 主治医からの診療情報提供書をもとに、施設と訪問看護ステーションが必要な医療ケアの内容を共有
- 入居後(通常時): 主治医の指示書に基づき、訪問看護ステーションが定期訪問。施設職員は日常の健康観察を行い、変化があれば訪問看護ステーションに連絡
- 状態急変・終末期: 主治医が特別訪問看護指示書を交付し、訪問看護ステーションが24時間対応体制で集中ケア。施設はご家族との連絡窓口として機能
(出典: 厚生労働省「居宅系施設等との連携」、全国訪問看護事業協会「高齢者施設等と訪問看護事業所との連携ガイド」)
施設職員・看護師・主治医が一つのチームとして動くことで、24時間体制の医療ケアが成立します。逆に言えば、この3者の連携がスムーズな施設ほど、医療依存度の高い方を安心して受け入れられる体制が整っているといえます。
連携体制が整った住宅型を選ぶ際の5つのチェックポイント
ここまで制度面を整理してきましたが、ご家族にとって本当に大切なのは「この施設なら安心して任せられるか」という判断です。住宅型有料老人ホームを見学・相談する際に、必ず確認しておきたい5つのチェックポイントをご紹介します。
① 提携訪問看護ステーションの体制
最初に確認すべきは、提携する訪問看護ステーションが24時間対応体制を整えているかどうかです。
- 24時間対応体制加算を算定していますか?
- 夜間の緊急訪問は、どのくらいの時間で対応してもらえますか?
- 提携ステーションの所在地は施設からどの程度の距離ですか?
これらを具体的に尋ねると、夜間の安心度がイメージしやすくなります。
② 受け入れ実績
施設のパンフレットだけでは、医療依存度の高い方の受け入れ実績が見えにくいことがあります。ご家族の状況に近い具体例を挙げて質問してみてください。
- がん末期の方の受け入れ実績はありますか?
- パーキンソン病、ALS、筋ジストロフィーなどの難病の方は対応可能ですか?
- 経管栄養・胃ろう・たんの吸引・在宅酸素が必要な方は受け入れ可能ですか?
「実績がある」と言葉だけで答えるのではなく、過去の事例を差し障りのない範囲で語ってくれる施設は、対応経験が豊富である可能性が高いです。
③ 主治医との連携体制
入居後に主治医をどうするかも重要な論点です。
- 現在のかかりつけ医を継続できますか?
- 施設が提携する訪問診療医を紹介してもらえますか?
- 月にどのくらいの頻度で往診がありますか?
- 緊急時には主治医とどのように連絡が取れますか?
主治医の往診体制が明確な施設は、夜間の判断もスムーズになります。
④ 入居前の医療情報確認の流れ
入居前に施設が医療情報をどのように確認するかは、その後のケアの質に直結します。
- 診療情報提供書や看護サマリーの提出は求められますか?
- 入居前面談ではどのような医療情報を聞き取りますか?
- ご家族との事前打ち合わせの機会はありますか?
入居前の情報共有が丁寧な施設ほど、入居後のミスマッチが起こりにくくなります。
⑤ ご家族との情報共有のしくみ
日々のご様子をご家族にどう伝えてくれるか、状態変化があったときの連絡基準は何か。ご家族の不安が大きいほど、日常的な情報共有のしくみが安心感につながります。
- 体調変化があった場合の連絡基準はどう設定されていますか?
- 定期的な家族面談や家族会はありますか?
- 連絡アプリや報告書など、日々のご様子を共有する仕組みはありますか?
これらの仕組みが整っている施設は、ご家族との信頼関係づくりを大切にしている施設といえます。
枚方市で住宅型有料老人ホームを検討する方へ
枚方市・北河内エリアで医療対応に力を入れた住宅型有料老人ホームをお探しのご家族にとって、施設の選択肢はもちろん、地域全体の医療・介護の連携体制も気になるポイントです。京阪沿線の利便性、近隣の病院や訪問看護ステーションの分布、ご家族が面会に通いやすい立地など、地域の条件は施設探しの際に意外と大きな比重を占めます。
メディケア結枚方は、枚方市に2026年7月にオープン予定の医療対応型住宅型有料老人ホームです。退院後の生活に医療ケアが必要な方や、住み慣れた地域で安心して過ごしたいご家族の声に応えることを目指して準備を進めています。
提携する医療機関・訪問看護ステーションとの連携体制づくりにも力を入れており、医療依存度に応じたご相談を承る予定です。具体的な受け入れ可否やご利用条件は、ご本人様のご状態、主治医のご判断、ご家族のご要望によって変わりますので、気になる点がございましたら、まずはお気軽にご相談いただければと思います。
まとめ|ご家族が安心して相談できる施設の見極め方
最後に、本記事の要点を3つに整理します。
- 住宅型有料老人ホームには看護師の配置義務がないため、施設単体で24時間看護を完結することは基本的にできません。
- 「特別訪問看護指示書」と「24時間対応体制加算」を活用することで、訪問看護ステーションとの連携によって24時間体制の医療ケアが実現可能です。
- 主治医・訪問看護ステーション・施設の3者連携が機能しているかが、住宅型を選ぶ際の最重要ポイントです。
ご家族の状態は一人ひとり異なり、「どこまで対応してもらえるのか」は実際に相談してみないとわかりません。気になる施設があれば、まず一度ご相談いただくことをおすすめします。書類だけで判断せず、現場の雰囲気や担当者の説明姿勢を直接ご覧になることで、ご家族にとって本当に合う施設を見つけやすくなります。

ご相談・お問い合わせ
メディケア結枚方では、見学のご相談・医療対応に関するご質問を随時受け付けています。
「うちの家族の状態でも入居できる?」「夜間の医療ケアはどこまで対応してもらえる?」といった具体的なご質問にも、できる範囲でていねいにお答えします。ご家族の状況をうかがいながら、主治医や訪問看護ステーションとの連携をどう設計できるか、一緒に考えさせていただきます。
出典・参考資料
- 厚生労働省「有料老人ホームの設置運営標準指導指針について」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000083170.html
- 厚生労働省「居宅系施設等との連携」 https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/0000114467.pdf
- 厚生労働省 介護給付費分科会 訪問看護参考資料 https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000170290.pdf
- 全国訪問看護事業協会「高齢者施設等と訪問看護事業所との連携ガイド」 https://www.zenhokan.or.jp/wp-content/uploads/h29-shisetu-guide.pdf
- 令和6年3月5日 保医発0305第4号「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」