住宅型有料老人ホームと介護付き有料老人ホームの違い|費用が逆転する条件まで解説

「住宅型」と「介護付き」。有料老人ホームを調べ始めると、まずこの2つの言葉に行き当たります。名前だけを見ると介護付きのほうが手厚そうに思えますが、実際には施設の質の差を表す言葉ではありません。

この記事では、2つの違いがどこにあるのかを、厚生労働省の資料をもとに整理します。人員基準としてよく紹介される「3対1」が実際に何を指しているのか、そして要介護度によって費用の負担が入れ替わる条件まで、ご家族が判断に使える形でお伝えできればと思います。

結論|違いは「特定施設の指定を受けているかどうか」

2つの違いは、介護保険の「特定施設入居者生活介護」という指定を受けているかどうかにあります。

厚生労働省の資料では、次のように示されています。

特定施設入居者生活介護の指定を受ける有料老人ホームを「介護付き有料老人ホーム」という。

つまり「介護付き」と名乗れるのは、この指定を受けた施設だけです。指定を受けていない有料老人ホームが、生活支援を中心に提供する形態が「住宅型」にあたります。

大切なのは、これが施設の良し悪しではなく、介護サービスの提供のしかたの違いだという点です。どちらが優れているという話ではなく、どちらがご本人の状態と暮らし方に合うか、という見方をしていただくのが実態に近いと考えています。

介護付き有料老人ホームとは

介護付き有料老人ホームは、その施設自体が介護サービスの提供事業者になっています。入居された方は、施設と入居契約を結ぶことで、そのまま施設の職員から介護を受けられます。

一般型と外部サービス利用型があります

あまり知られていませんが、介護付きには2つの型があります。厚生労働省の指導指針では、それぞれ次のように説明されています。

【一般型】介護が必要となっても、当該有料老人ホームが提供する特定施設入居者生活介護を利用しながら当該有料老人ホームの居室で生活を継続することが可能です。(介護サービスは有料老人ホームの職員が提供します。)

【外部サービス利用型】有料老人ホームの職員が安否確認や計画作成等を実施し、介護サービスは委託先の介護サービス事業所が提供します。

同じ「介護付き」でも、実際に介護をする人が施設の職員なのか、委託先の事業所なのかが変わります。見学の際に確認しておくとよい点のひとつです。

住宅型有料老人ホームとは

住宅型有料老人ホームは、食事や掃除、見守りといった生活支援を施設が提供し、介護が必要になった場合は、入居された方ご自身が外部の介護サービスを選んで契約する形態です。指導指針では次のように説明されています。

介護が必要となった場合、入居者自身の選択により、地域の訪問介護等の介護サービスを利用しながら当該有料老人ホームの居室での生活を継続することが可能です。

仕組みやサービス内容、費用の内訳については、住宅型有料老人ホームとは?費用・サービス・入居条件をやさしく解説で詳しくまとめていますので、あわせてご覧ください。

居室で入居者に寄り添うスタッフ
人員基準は「何人配置するか」の決まりであり、常に誰かがそばにいることを保証するものではありません

人員配置の違い|「3対1」の正しい読み方

介護付きの説明でよく出てくるのが「3対1」という数字です。ただ、この読み方には注意が必要です。

介護付きの人員基準

厚生労働省の資料では、次のように定められています。

○看護・介護職員 ― ①要支援者:看護・介護職員=10:1 ②要介護者:看護・介護職員=3:1 ※ただし看護職員は要介護者等が30人までは1人、30人を超える場合は、50人ごとに1人 ※夜間帯の職員は1人以上

このほか、管理者1人、生活相談員が入居者100人に対して1人、機能訓練指導員1人以上、計画作成担当者として介護支援専門員1人以上の配置が定められています。

「3対1」は「常に3人に1人がそばにいる」という意味ではありません

ここが誤解されやすい部分です。「3対1」について、押さえておきたい点が3つあります。

  1. 看護職員と介護職員を合わせた数です。介護職員だけで3対1という意味ではありません
  2. 常勤換算での配置基準です。24時間いつでも3人に1人がついている、という意味ではありません
  3. 夜間帯の基準は別で、「職員1人以上」と定められています

また、看護職員は「30人までは1人」という基準です。介護付きだからといって、夜間に看護師が常にいるとは限りません。この点は施設ごとに体制が異なりますので、気になる場合は個別にご確認いただくのが確実です。

住宅型の場合

住宅型には特定施設のような配置基準はなく、施設ごとに体制を定めています。そのぶん、どのような職員がどの時間帯にいるのかは、施設によって幅があります。見学の際に、日中と夜間それぞれの体制を伺っておくと安心です。

電卓と書類で老人ホームの費用を確認している様子
費用は「どちらが安いか」ではなく「必要な介護の量がどれくらいか」で見え方が変わります

費用の考え方の違いと、負担が入れ替わる条件

費用について「介護付きは高い」「住宅型は安い」と説明されることがありますが、実際にはもう少し込み入っています。

介護付きは定額、住宅型は使った分だけ

介護保険で見た場合、2つは次のように仕組みが違います。

介護付き(一般型)住宅型
介護費の決まり方要介護度別の定額使った外部サービスの分だけ
上限定額のため上限という考え方がない区分支給限度基準額まで。超えた分は全額自己負担
あまり使わなかった月変わらない減る

介護付きは、実際にどれだけ介護を使っても、要介護度に応じた金額がかかります。住宅型は、使った分だけの支払いになる代わりに、介護保険で使える上限(区分支給限度基準額)が決まっており、それを超えた分は全額が自己負担になります。

要介護度別に見た「定額」と「使える上限」

厚生労働省の資料から、介護付きの定額(1か月あたりに換算した単位数)と、住宅型が使える上限を並べると次のようになります。

区分介護付きの定額(単位/月)住宅型が使える上限(単位/月)
要支援15,5635,032
要支援29,51510,531
要介護116,35516,765
要介護218,36219,705
要介護320,49027,048
要介護422,43530,938
要介護524,53336,217

1単位はおおむね10円前後で、地域やサービスの種類によって変わります。実際のご負担は、ここに自己負担割合(1割から3割)をかけた金額が目安になります。

負担が入れ替わるのはどこか

この表からは、次のことが読み取れます。

要介護3以上では、住宅型で使える上限のほうが、介護付きの定額より大きくなります。要介護5では1万単位以上の差があり、制度の上では住宅型でも手厚く組めることを意味します。

一方で、住宅型は上限を超えた分が全額自己負担になります。介護付きは使う量が増えても定額のままです。そのため、必要な介護の量が介護付きの定額を上回るかどうかが、費用面での分かれ目になります。

言い換えると、判断の軸は「要介護度が高いから介護付き」という単純なものではありません。どれくらいの頻度で、どんな介護が必要になりそうかを、ケアマネジャーや施設と一緒に見積もってみることが、いちばん現実的な進め方だと考えています。

入居条件と受け入れ範囲の違い

住宅型は、自立の方から要介護の方まで幅広く受け入れている施設が多く見られます。介護認定を受けていない段階から入居できる施設もあります。

介護付きは、要介護の方を中心に受け入れている施設が多く、施設によっては要介護1以上を条件としている場合があります。

ただし、これらは制度で一律に決まっているものではなく、施設ごとに設定されています。気になる施設があれば、直接お問い合わせいただくのが確実です。

看護師が居室で入居者の血圧を測定する様子
住宅型でも、外部の訪問看護と連携して医療的なケアに対応している施設があります

医療的なケアが必要な場合の考え方

医療的なケアが必要な場合、「介護付きでなければ難しいのでは」と考えられる方が多くいらっしゃいます。

住宅型には看護職員の配置義務がないため、施設だけで医療的なケアを完結させることは想定されていません。ただし、外部の訪問看護ステーションと連携することで、医療的なケアに対応している住宅型の施設もあります。

この仕組みについては、住宅型有料老人ホームでも24時間看護は可能?訪問看護との連携でできることで、制度の面から詳しくご説明しています。医療的なケアを前提に施設をお探しの方は、あわせてご覧いただければと思います。

どちらが向いているかの目安

ここまでの内容をふまえて、考え方の目安を整理します。どちらが優れているという話ではなく、状況との相性としてお読みください。

住宅型が合いやすいのは、必要な介護がまだ限られている方、これまで使ってきた訪問介護や訪問看護の事業所を続けたい方、外出や面会など生活の自由度を重視される方です。使うサービスを選べることが、そのまま暮らしやすさにつながる場合があります。

介護付きが合いやすいのは、介護の必要量が多く、費用の見通しを立てやすくしたい方、サービスの手配をご家族が担うのが難しい方です。定額であることが安心につながる場合があります。

迷われる場合は、要介護度だけで決めず、1週間のうちどの場面で手助けが必要かを書き出してみると、判断しやすくなります。

見学・契約前に確認しておきたいこと

どちらの形態を選ぶ場合でも、契約前に確認しておきたい書類があります。厚生労働省の指導指針では、事業者について次のように定められています。

入居者又は入居しようとする者に対して、重要事項説明書を書面により交付するとともに、パンフレット、重要事項説明書、入居契約書、管理規程等を公開するものとし、求めに応じ交付すること。

重要事項説明書には、職員体制や費用の内訳、提携医療機関などが記載されています。求めに応じて交付することとされていますので、遠慮なくお申し出ください。

前払金についても、次のように定められています。

入居者の契約解除の申し出から実際の契約解除までの期間として予告期間等を設定し、前払金の返還債務が義務づけられる期間を事実上短縮することによって、入居者の利益を不当に害してはならないこと。

前払金がある場合は、退去された場合にどのように返金されるのかを、契約前にご確認ください。

まとめ

住宅型と介護付きの違いは、特定施設入居者生活介護の指定を受けているかどうかという制度上の区分です。介護サービスを施設が提供するか、ご自身で選んだ外部の事業所が提供するかが変わります。

人員基準の「3対1」は、看護職員と介護職員を合わせた常勤換算の基準であり、常に3人に1人がそばにいることを意味するものではありません。

費用は、介護付きが定額、住宅型が使った分だけという違いがあり、必要な介護の量によって負担の大小が入れ替わります。要介護度だけで判断せず、どのような場面で手助けが必要になりそうかを具体的に見積もってみることをおすすめします。

住宅型の仕組みや費用の内訳については住宅型有料老人ホームとは?費用・サービス・入居条件をやさしく解説で、医療的なケアへの対応については住宅型有料老人ホームでも24時間看護は可能?訪問看護との連携でできることでご説明しています。

メディケア結枚方では、住宅型有料老人ホームとして、外部の訪問看護・訪問介護と連携しながら、お一人おひとりの状態に合わせた暮らしを支えています。どちらの形態が合うか迷われている段階でも構いませんので、お気軽にご相談ください。

参考・出典